「大好きな芸能人の写真で、自分だけのアクスタやうちわを作りたいけれど、著作権は大丈夫だろうか」。芸能人の写真の著作権は、推し活でグッズを作りたい方も、イベントのグッズを用意する担当の方も、最初に迷いやすいところですよね。
先に結論をお伝えすると、芸能人の写真には撮影した人の著作権と、写っている本人の肖像権・パブリシティ権が重なっています。自分で作って家で楽しむ範囲を超えて、配る・売る・業者に頼む場合は、権利を持つ人の許可が要ると考えてください。
この記事では、4つの権利の違い、自分用と配る・売る・頼む場合の線引き、許可の取り方を、最高裁の判決や文化庁の資料をもとにまとめました。グッズを作る前に、どこまでなら自分で楽しめるかを確かめられます。
芸能人の写真に関わる4つの権利
芸能人の写真をグッズに使うときに関わるのは、著作権・肖像権・パブリシティ権・商標権の4つです。写真そのものの権利と、写っている人の権利は持ち主が別なので、片方の許可だけでは足りません。
| 権利 | 守るもの | 権利を持つ人 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 著作権 | 写真そのもの | 撮影した人や会社 | 著作権法 |
| 肖像権 | 顔や姿 | 写っている本人 | 判例 |
| パブリシティ権 | 名前や顔が人を引きつける力 | 写っている本人 | 判例 |
| 商標権 | 登録された名前やロゴ | 登録した人や会社 | 商標法 |
文化庁の著作権テキスト(令和8年度版)は、肖像権とパブリシティ権について、法律で定めたものは無く、判例によって確立された権利だと説明しています。それぞれの中身を順に見ていきましょう。
写真の著作権は撮影した人にある
写真は、著作権法が例に挙げる著作物の一つです(第10条)。著作権はふつう撮影した人にあり、雑誌や公式サイトの写真のように会社の仕事として撮られたものは、会社が著作者になる場合があります(第15条)。
写っている芸能人が自分で撮った写真でなければ、写真の著作権はふつう本人ではなく撮影した側にあります。著作権を持つ人は、写真を複製する権利や、インターネットで公開する権利を持っています(第21条・第23条)。
著作権を侵害すると、差止めや損害賠償を求められるほか、10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されることがあります(第119条第1項)。会社の業務として行った場合は、法人にも3億円以下の罰金が科されます(第124条第1項)。
肖像権は写っている本人を守る
肖像権は、自分の顔や姿をみだりに撮影されたり、公開されたりしない権利です。法律の条文には無く、裁判所の判例で認められてきました。
最高裁は2012年(平成24年)2月2日の判決で、人の氏名や肖像は個人の人格の象徴なので、本人はこれをみだりに利用されない権利を持つと述べています。芸能人だけでなく、一般の人にも認められる権利です。
パブリシティ権は名前と顔の価値を守る
パブリシティ権は、名前や顔が持つ、商品の売れ行きを後押しする「人を引きつける力」を、本人だけが利用できる権利です。同じ2012年の最高裁判決が、人格権から生まれる権利の一つとして認めました。
判決は、無断の使用が違法になるのは、専ら名前や顔の人を引きつける力を利用する目的といえる場合だとし、例として次の3つを挙げています。
- 肖像そのものを鑑賞の対象となる商品にする
- ほかの商品と差をつけるために商品に付ける
- 商品の広告に使う
ブロマイドやアクリルスタンドのように、写真を眺めて楽しむグッズは、1つ目の使い方に当たりやすいものです。売る目的で作るなら、本人や事務所の許可が要ると考えましょう。
名前やロゴは商標登録されていることがある
芸能人やグループの名前、ロゴは、グッズなどの商品について商標登録されていることがあります。登録された商標と同じ名前やロゴを、商品を売るなど事業として付けると、商標権の侵害になりえます(商標法第2条・第25条)。
登録されているかは、工業所有権情報・研修館の特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で調べられます。商標権の侵害にも、10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方の定めがあります(第78条)。
写真や名前をグッズに使うと何が問題?
芸能人の写真や名前を許可なくグッズにすると、作り方や使い道によって、4つの権利のどれか、または複数に触れます。よくある場面ごとに見ていきましょう。
写真をそのまま商品にして売る
雑誌や公式サイトの写真を使ったアクリルスタンドやうちわを、許可なく作って売ると、写真の著作権を侵害します。写真を眺めて楽しむ商品なので、本人のパブリシティ権の侵害にも当たりうる使い方です。
名前やグループのロゴも入れれば、商標権の問題も加わります。フリマアプリや同人イベントで少しだけ売る場合でも、権利の考え方は変わりません。
ネットで拾った写真は撮影者の許可が要る
インターネットで簡単に保存できる写真でも、著作権が無くなるわけではありません。公式サイトやSNSの写真、雑誌を撮影した画像も、撮影した人や会社の許可なく複製すれば著作権の問題になります。
「ほかの人も使っているから大丈夫」とは限りません。権利を持つ人が気づいていないか、対応していないだけということもあります。
自分で撮った写真でも本人の権利は残る
コンサートやイベントで自分が撮った写真なら、写真の著作権は自分にあります。それでも、写っている本人の肖像権とパブリシティ権は残るので、グッズにして配ったり売ったりしてよいことにはなりません。
公演によっては撮影そのものが禁止されているので、主催者の案内も確かめておきましょう。
名前や似顔絵だけでも問題になりうる
パブリシティ権の判決は「氏名,肖像等」を対象にしており、守られるのは写真だけではありません。名前を大きく入れた商品や、本人だと分かる似顔絵を使った商品も、本人の人を引きつける力を使っていると見られるおそれがあります。
自分で描いた似顔絵なら絵の著作権は自分にありますが、本人の権利は別に残ります。配る・売るグッズに使うなら、本人や事務所の了承を取るのが安心です。
自分用と、配る・売る・頼む場合の違い
著作権には、自分や家族で楽しむための複製を認める例外があります。ただし、使える条件は狭く、配る・売る・業者に頼む場合は外れると考えてください。
自分で作って家で使うのは私的使用
著作権法第30条は、個人的に、または家庭内などの限られた範囲で使う目的なら、使う本人が著作物を複製できると定めています。自分のプリンターで写真を印刷して、自分の手帳やうちわに貼るのは、この範囲に入りやすい使い方です。
肖像権やパブリシティ権も、家の中で自分が楽しむだけなら問題になりにくい使い方です。飾る、手帳に貼るといった範囲にとどめましょう。
人に配る・SNSに載せると範囲の外
私的使用のために作った複製物を、その目的の外で不特定または多くの人に配ったり見せたりすると、複製をしたものとみなされます(著作権法第49条)。イベントで配る、フォロワーにプレゼントするといった使い方は、無料でも私的使用の範囲を外れると考えてください。
写真を使ったグッズの画像をSNSに載せることも、写真をインターネットで公開することに当たります(第23条)。公演の注意事項などで、著作権で守られた素材を使った自作グッズを友人・知人に配ることや、SNSに載せることまで禁止しているアーティストもいます。
業者に頼むと「自分用」でも例外に入らない
文化庁の著作権テキスト(令和8年度版)は、私的使用の条件の一つに「使用する本人が複製すること」を挙げています。使う人の手足として作業を頼むことはできる、という説明です。
一方で、知的財産高等裁判所は2014年(平成26年)10月22日の判決で、注文を受けて書籍を電子化する業者について、独立した業者が複製するので第30条の条件を満たさないと判断しました。
グッズ制作会社が注文を受けて、写真入りのアクリルスタンドや缶バッジを作るのは、この判決の業者に近い立場です。自分用のつもりでも、他人が撮った写真を業者に頼んでグッズにするときは、私的使用の例外に頼れないと考えておきましょう。
グッズ制作会社の中には、権利者の書面の許可が無い芸能人の写真は入稿を受けないと公表しているところもあります。
「顔が分からない写真ならOK」は誤り
顔が写っていない写真や、だれか分からないほど加工した写真でも、写真の著作権は撮影した人に残ります。後ろ姿やシルエットの写真でも、そのまま使えば複製に当たる点は変わりません。
加工しても本人だと分かるなら、肖像権やパブリシティ権の問題も残ります。「加工すれば別の作品になる」と考えず、もとの写真の権利を先に確かめましょう。
公式のルールと許可の取り方
芸能人の写真や名前を使ったグッズを配る・売るなら、権利を持つ人の許可が欠かせません。許可を求める前に、公式のルールを確かめるところから始めましょう。
公式サイトや公演の注意事項を読む
所属事務所の公式サイトや、公演・イベントの注意事項に、写真の使い方やグッズの手作りについての決まりが書かれていることがあります。決まりで禁止されていることは、自分用でも控えるのが安心です。
許可は撮影者と本人の両方に取る
写真をグッズに使う許可は、写真の著作権を持つ撮影者や会社と、肖像権・パブリシティ権を持つ本人の両方から得る必要があります。本人に許可を求めるときは、所属事務所や公式の問い合わせ窓口に相談します。
名前やロゴが商標登録されていれば、その持ち主の許諾も欠かせません。許可を得たら、使ってよい写真、グッズの種類と数、売るか配るか、期間を書面で残しておきましょう。
個人のファンが趣味のグッズのために許可を得るのは、現実には難しいことが多いでしょう。その場合は、写真や名前を使わない形でグッズを作るのが確実です。
迷ったら弁護士などの専門家に相談する
パブリシティ権の範囲や期間について、文化庁の著作権テキストは「まだ明確にはなっていません」と説明しています。売上が出るグッズや会社の企画で使うなら、作る前に弁護士などの専門家に相談しておきましょう。
権利を守ってグッズ作りを楽しむ方法
写真や名前を使わなくても、応援の気持ちを形にする方法はあります。3つの方法を見ていきましょう。
自分で描いた絵やデザインで作る
自分で描いたイラストや、自分で考えたデザインの著作権は自分のものです。推しのイメージカラーや好きなモチーフを使ったデザインなら、権利の心配は少なくなります。
ただし、本人だと分かる似顔絵や、公式のロゴ・グッズに似せたデザインは、本人や公式のものを使ったと受け取られやすくなります。オリジナルのキャラクターを一から作るなら、マスコットキャラクターの作り方も参考にしてください。
自分だけで楽しむ
写真やロゴを使って自分で作ったものは、自分や家族で楽しむ範囲にとどめましょう。人に配ったりSNSに載せたりしたくなっても、そこから先は許可が要る使い方です。
インターネットに一度広がった画像は、自分の手で取り消すのが難しいものです。
権利を持つ立場ならグッズにできる
アーティスト本人や所属事務所、公演の主催者など、写真や名前の権利を持つ側か、権利者から許可を受けた側なら、許可の範囲で公式のグッズとして作れます。うちわやTシャツ、タオルなどの制作例は、ライブグッズのオリジナルグッズ一覧で紹介しています。
芸能人の写真とグッズのよくある質問
迷いやすい疑問を3つ取り上げました。
名前だけ入れたグッズなら売れる?
名前だけでも、許可なく売るグッズに使うのはやめましょう。パブリシティ権の判決は名前も対象にしており、グループ名などが商標登録されていれば商標権の侵害にもなりえます。
亡くなった芸能人や昔の写真は使える?
写真の著作権は、原則として撮影した人の死後70年まで続きます(著作権法第51条)。会社名義の写真は、公表から70年です(第53条)。
亡くなった人の肖像やパブリシティ権の扱いは、法律に定めが無く、はっきりしていません。古い写真でも、権利を持つ人や遺族、事務所に確かめてから使いましょう。
推しのぬいぐるみは作れる?
本人をかたどったぬいぐるみは、肖像そのものを商品にする使い方なので、本人や事務所の許可なしには作れないと考えてください。アニメや漫画のキャラクターも含めた、ぬいぐるみならではの注意は、ぬいぐるみの著作権の記事にまとめました。
RONECTでオリジナルグッズを作る場合
株式会社RONECTでは、オリジナルぬいぐるみやマスコットキーホルダーをはじめ、さまざまなオリジナルグッズのOEM制作を行っています。見積もりを相談するときは、デザインの権利の状況を最初に伝えていただくと、話がスムーズに進みます。伝えていただきたいのは、次の4つです。
- デザインやイラストをだれが作ったか
- 写真ならだれが撮り、だれが写っているか
- 名前やロゴを入れるか、許可の書面はあるか
- 配る・売る・自分たちで使うのどれか
RONECTでは、AIを使った完成イメージ画像を無料で作成しています。権利者に許可を相談するときにも、仕上がりを見せる材料になるでしょう。AIの画像は完成イメージなので、実際の製品とは形や色が異なる場合があります。
サンプル制作から量産、検品、輸入、国内への納品まで一括で対応し、中国語ができる日本人の担当者が提携工場と直接やり取りします。頼み先の比べ方はグッズ制作会社の種類と選び方に、ぬいぐるみの場合の手順はオリジナルぬいぐるみ制作の流れと費用にまとめました。
まとめ
芸能人の写真には、撮影した人の著作権と、本人の肖像権・パブリシティ権が重なり、名前やロゴには商標権が関わることもあります。自分で作って家で楽しむ範囲を超えて、配る・売る・業者に頼むなら、権利を持つ人の許可が必要です。
まずは作りたいグッズが自分用か、配る・売るものかを決めて、公式のルールを確かめるところから始めてみてくださいね!
株式会社RONECTでは、お客様が権利を持つデザインでのオリジナルグッズ制作を、AIの完成イメージ作成から国内納品までご相談いただけます。デザインの権利の状況とあわせて、お気軽にお問い合わせください。

