「チラシやグッズを『ポップな感じで』と頼まれたけれど、どんなデザインにすればいいのだろう」。ポップという言葉はよく聞くのに、いざ形にしようとすると、何から手をつければよいか迷いますよね。
ポップなデザインとは、鮮やかで明るい色や丸みのある形を使い、にぎやかで親しみやすい印象を与えるデザインのことです。色・形・文字・配置・言葉の5つを意識すると、ポップな雰囲気に近づけられます。
この記事では、「ポップ」という言葉の意味と店頭の「POP広告」との違い、ポップに見せる5つのコツを紹介します。デザイナーに伝える言葉も、自分で手を動かすときの手順も、はっきりつかめるでしょう。

ポップなデザインとは?明るく親しみやすい見た目のこと
ポップなデザインとは、ひと言でいえば、明るく、にぎやかで、親しみやすい見た目のデザインのことです。CMや広告、商品のパッケージ、子ども向けの商品やイベントの告知などで、よく見かけるでしょう。
「ポップ」という言葉の意味と由来
国語辞典の『精選版 日本国語大辞典』は、ポップを、美術やファッションで軽くて都会的なさま、また大衆向けであるさまと説明し、例に「ポップなデザイン」を挙げています。『デジタル大辞泉』にも、大衆向きであるさまや、ポップアート風の、という意味が載っています。
もとは英語の popular(大衆的な)を短くした言葉です。精選版 日本国語大辞典と日本大百科全書によると、第二次世界大戦後のイギリスで生まれ、1960年代にアメリカを中心に広がった「ポップアート」は、漫画やポスター、広告など、大衆向けの図像を作品に取り入れた美術でした。
今の「ポップなデザイン」も、だれにでも親しみやすく、明るく軽やかな印象のデザインを指す言葉です。
ポップに見える4つの要素
ポップな印象は、主に色・形・文字・配置の4つの工夫から生まれます。反対の落ち着いた印象と並べると、違いがつかみやすくなります。
| 要素 | ポップに見せる工夫 | 落ち着いて見える工夫 |
|---|---|---|
| 色 | 鮮やかで明るい色を使う | くすんだ色や暗い色を使う |
| 形 | 丸みやふくらみを持たせる | 直線や角を生かす |
| 文字 | 太いゴシック体や丸ゴシック体 | 細い明朝体 |
| 配置 | イラストを散らして動きを出す | 整えて並べ、余白を広くとる |
店頭の「POP広告」とは別の言葉
お店の売り場で商品の横に置く案内や価格のカードのことも「POP(ポップ)」と呼ぶので、混同しやすい言葉です。POP は point of purchase(購買時点)の略で、デジタル大辞泉は、小売店の店頭に置いたり商品につけたりする広告と説明しています。
店頭のPOPをポップな見た目で作ることもありますが、2つは別の言葉です。この記事では、明るくにぎやかな見た目を指す「ポップなデザイン」を説明します。
ポップなデザインのメリットと向かない場面
ポップなデザインの主な良さは、次の4つです。
- 遠くからでも目に留まりやすい
- 親しみやすく、手に取ってもらえる
- 伝えたいことがひと目で届く
- 楽しくにぎやかな雰囲気を出せる
鮮やかな色や大きな文字は、たくさんの商品や情報が並ぶ中でも先に目に入ります。丸い形やかわいらしいイラストは、親しみやすい印象につながります。
子ども向けの商品やイベントの告知、キャラクターグッズ、気軽に受け取ってほしいノベルティなど、明るく楽しい雰囲気を伝えたい場面にぴったりです。
ポップなデザインが向かない場面
一方で、落ち着きや高級感、信頼感を伝えたい場面には向きません。たとえば、改まった式典の案内状やお悔やみに関わるもの、高級感を出したい品のパッケージ、説明書や注意書きのように正しく読んでほしいものです。
こうした場面では、色の数をしぼり、余白を広くとるシンプルなデザインのほうが合います。目立たせたいならポップ、なじませたいならシンプル、と使い分けましょう。

ポップなデザインを作る5つのコツ
ここからは、ポップなデザインを作るときのコツを、色・形・文字・配置・言葉の順に紹介します。迷ったら、上から順に1つずつ試してみてください。
コツ1 鮮やかな色を選び、トーンをそろえる
まず手をつけたいのは色です。赤や黄色、水色のような鮮やかで明るい色を中心にすると、元気でにぎやかな印象になります。
色の鮮やかさを彩度、明るさを明度といい、日本色彩研究所は、この2つを合わせた色の調子を「トーン」と説明しています。同じトーンの色は、色味が違っても似た印象になるため、色を増やすときは鮮やかさと明るさの近い色でそろえるのがコツです。
くすんだ色や暗い色が多いと、落ち着いた印象に近づきます。かわいらしくしたいときは、白っぽく淡い色(パステルカラー)を中心にするのも1つの方法です。
色をたくさん使うときは、見分けにくい組み合わせにも気をつけましょう。日本眼科医会の冊子によると、生まれつき赤と緑などが見分けにくい人は、日本人の男性で20人に1人、女性で500人に1人の割合です。
同じ冊子は、赤と緑、青と紫、ピンクと水色などが似て見えることがあると説明し、物を見分けるときは形や模様など色以外の手がかりを使うようすすめています。デザインでも、大事な情報は色だけで分けず、形や文字、ふちどりでも区別できるようにしておくと安心です。
コツ2 丸みとふくらみのある形にする
角の丸い四角や円、ふくらみのある線を使うと、やわらかく親しみやすい印象になります。写真やイラストの枠、吹き出しの角を丸くするだけでも、全体がポップに近づきます。
文字やイラストに太めのふちどりや影を付けるのも効果的です。輪郭がはっきりして、にぎやかで元気な雰囲気が出ます。
コツ3 太めのゴシック体や丸ゴシック体を使う
書体は、明朝体よりゴシック体が合います。明朝体は線に強弱があり、落ち着いた大人っぽい印象になるため、ポップなデザインとは少し方向が違う書体です。
力強さを出したいなら太いゴシック体、かわいらしさを出したいなら丸ゴシック体を選びましょう。見出しなど目立たせたい文字は大きく太くし、説明の文字は読みやすい大きさにとどめると、メリハリがつきます。
コツ4 イラストは自由に散らし、読ませたい文字はそろえる
イラストや模様をあえて不規則に配置すると、にぎやかで動きのある印象になります。背景にドットやストライプなどの模様を敷くのも、ポップな雰囲気を出す方法です。
ただし、文字まで散らすと読みにくくなります。店名や日付、価格のように読み飛ばされては困る文字はそろえて置き、背景との明るさの差をはっきりさせましょう。
コツ5 前向きな言葉を、話しかけるように入れる
文字を入れるなら、前向きなメッセージを選びます。語尾に「!」を付けたり、友だちに話しかけるような言い回しにしたりすると、見た人が親しみを感じやすくなります。
言葉は短くしぼるのがコツです。ひと目で読める長さにすると、ポップな見た目と合わせやすくなります。
迷ったときは、「鮮やかな色」「丸い形」「太い文字」の3つから試してみてください。この3つがそろうだけで、ぐっとポップな印象に近づきます!

オリジナルグッズにポップなデザインを使うときの注意
ポップなデザインは、キーホルダーやぬいぐるみ、ノベルティなどのオリジナルグッズにもよく合います。グッズにするときは、紙や画面とは違う点に気をつけましょう。
作り方によって出せる色や細かさが違う
グッズは作り方によって、表せる色や線の細かさが変わります。たとえば刺繍は糸で表すため、細い線やグラデーションはそのままでは出せません。詳しくは、ぬいぐるみの刺繍の記事で説明しています。
ラバーキーホルダーも、写真やグラデーションのような細かい色の変化は苦手です。素材ごとの違いは、ラバーキーホルダーの素材の記事にまとめています。
どちらの場合も、輪郭のはっきりした形と、はっきりした色の組み合わせにすると、ポップなデザインがきれいに仕上がります。グッズによっては色の数で費用が変わることもあるので、使いたい色の数と細かく表したい部分は、見積もりの前に制作会社へ伝えておきましょう。
ほかの会社のロゴやキャラクターに似せない
ポップなデザインの見本を探していると、人気のキャラクターや有名なロゴを参考にしたくなることがあります。しかし、他人のキャラクターやロゴに似せたデザインをグッズにすると、著作権や商標権を侵すおそれがあります。
参考にするのは色の使い方や雰囲気までにとどめ、絵や形は自分たちで考えましょう。ぬいぐるみなどを作るときの権利の考え方は、ぬいぐるみの著作権の記事で説明しています。
デザインから相談したいときは
頭の中のイメージをデザインにするのが難しいときは、デザインの段階から制作会社に相談するのも1つの手です。株式会社RONECTでは、商品やロゴ、キャラクターのデザインの作成から、グッズの制作まで相談できます。
作れるデザインの種類や相談の窓口は、デザイン作成の流れのページにまとめています。マスコットのようなキャラクターを一から作りたい方は、マスコットキャラクターの作り方の記事も参考にしてください。
RONECTでは、AIを使った完成イメージ画像を無料で作成しているので、グッズにしたときの姿を、サンプルを作る前に確かめられます。完成イメージのため、実際の製品とは形や色味が違う場合があります。
サンプル制作から量産、輸入、国内への納品まで、中国の提携工場と連携してまとめて対応しているのも特長です。
まとめ
ポップなデザインとは、鮮やかで明るい色や丸みのある形で、楽しく親しみやすい印象を与えるデザインです。トーンをそろえた色、丸い形、太めのゴシック体を使い、イラストは散らして文字はそろえるのが基本のコツになります。
まずは手元のチラシやデザイン案を1つ選び、色を鮮やかにして角を丸くするところから試してみてください。落ち着きや信頼感を伝えたいものには、シンプルなデザインを選びましょう。
株式会社RONECTでは、デザインの作成からオリジナルグッズの制作まで、まとめてご相談いただけます。「こんな雰囲気のグッズを作りたい」というぼんやりした段階でも、お気軽にご相談ください。

