「キャラクターのぬいぐるみをリターンにしたいけれど、何個作ればいいのか分からない」。クラウドファンディングのリターンを考えても、金額をいくらにすれば支援が集まるのか、赤字にならないか、不安が先に立つ方も少なくないでしょう。お届けが遅れたらどうしようという迷いも重なります。
そこで本記事では、リターンの金額の組み方と手元に残るお金の出し方を整理し、ぬいぐるみをリターンにした事例から、選ばれやすいサイズや組み合わせを紹介します。支援数が読めなくても、作る数と日程を決める段取りが分かるはずです。
あわせて、送料や消費税の書き方、遅れるときの知らせ方、権利の注意も同じ流れで解説します。
クラウドファンディングのリターンは前払いの注文
購入型のクラウドファンディングのリターンは、支援者から先に代金を受け取った注文と考えると分かりやすくなります。物・体験・お礼を組み合わせて用意し、約束したお届け予定日までに届けきることが実行者の役目です。
購入型は支援者と売買の約束を結ぶ
購入型は、支援者から前払いで集めた代金を元手に品を作り、できあがった品をリターンとして届ける仕組みです。消費者庁の会議で示された2020年の資料では、実行者と支援者の間にリターンの売買の契約が結ばれると整理しています。
同じ資料は、実行者はネット通販と同じように、景品表示法や特定商取引法の対象になるのが一般的と考えられるとしています。リターンは「お礼の品」であると同時に、売り物でもあると考えておきましょう。
物と体験とお礼を組み合わせる
リターンは、グッズなどの物、イベントへの招待などの体験、お礼の手紙や名前の掲載を組み合わせて用意します。CAMPFIREの統計では、リターンを10個以上用意したプロジェクトほど目標に届く割合が高い傾向でした。
READYFORの担当者も、コースは10〜20ほど用意し、それぞれにタイトルと写真を付けるよう勧めています。グッズを中心に、金額に合わせて体験やお礼を足していくと組み立てやすいですね。
お届け予定日までに届けるのが義務
リターンを届ける責任は、プラットフォームではなく実行者にあるのが原則です。CAMPFIREは、プラットフォームは支援の契約の当事者にならず、実行者がお届け予定日までにリターンを届けなければならないと定めています。
目標に届かなくても集まったお金を受け取れる「All in」の方式では、目標に届かなくても実施する義務を負います。作るのに日数がかかるグッズほど、届けきれる日程を先に組んでおきましょう。
リターンの金額の決め方と手元に残るお金
リターンの金額は、支援が集まりやすい1万円前後を軸に、5千円ほどの入口から10万円ほどの特別な枠まで段を分けて決めます。手数料と送料、作る費用を引いた手元の額から逆算し、目標金額を決めましょう。
支援の多くは1万円以下の価格帯
支援の件数で見ると、1万円以下の金額が多く選ばれています。CAMPFIREが2019年1月〜2026年9月の支援をまとめた統計では、支援件数の7割以上が1万円以下でした。同社の解説記事も、平均の支援額を約1万円としています。
ただし、同じ統計で支援の総額を見ると、2万円以上の支援の割合が大きくなっていました。数を集める入口の価格と、総額を押し上げる高めの価格の両方を用意するのが基本になります。
5千円から10万円まで段を分ける
READYFORの担当者は、3,000円・1万円・3万円・5万円・10万円のように並べると1万円が多く選ばれると説明し、成功したプロジェクトには、10万円以上の大口のコースを用意している例が多いとしています。同社の2025年時点の平均の支援額は1.9万円でした。
Makuakeの編集部は、数を限った早割の合計で目標の30%近くを満たす組み立て方や、まとめて買うと割安になるセットを勧めています。ぬいぐるみなら、単品を入口に、色違いのセットや大きいサイズを上の段に置くと選びやすくなるでしょう。
手数料と送料を引いて手元の額を出す
手元に残るお金は、集まった額から手数料、作る費用、送料と梱包の費用を引いた額です。2026年11月時点の各社の手数料は次のとおりです。
| プラットフォーム | 実行者の手数料 | 入金の時期 |
|---|---|---|
| CAMPFIRE | 利用12%と決済5%に消費税 | 終了月末締めの翌月末 |
| Makuake | 税込22%で決済込み | 終了月末締めの翌月25日 |
| READYFOR | 標準のプランで14%に消費税 | 終了日から翌々月10日 |
あるアプリのキャラクターのマスコットのプロジェクトでは、目標100万円のうち約60万円を制作費と送料、約17万円を手数料に見込んでいました。入金は終了からおよそ1か月〜2か月あまりあとになるため、見本を作る費用などは先に用意しておくと安心です。
ぬいぐるみをリターンにする良さと事例
ぬいぐるみは、キャラクターや看板の動物の姿を写真でそのまま伝えられる、リターンに向いた品です。事例では手に取りやすい金額のコースに支援が集まり、大きく高いぬいぐるみは数を絞った特別な枠や、体験とのセットに向いています。
キャラクターの姿を写真で伝えやすい
ぬいぐるみは、プロジェクトのキャラクターや看板の動物を、写真1枚で分かる形にできるのが強みです。CAMPFIREもキャラクターグッズ向けの案内で、ぬいぐるみの制作を使い道に挙げ、限定版のリターンでファンとの関係を深められると紹介しています。
プロジェクトが終わったあとも手元に残るので、支援した思い出の品にもなります。リターンの写真は支援の決め手になるため、見本の写真を用意できるかを最初に確かめましょう。
手に取りやすい金額のコースに支援が集まる
事例を見ると、手に取りやすい金額のぬいぐるみのコースに支援が集まっています。ある水族館のプロジェクトでは、約17cmの1万円のコースが119件だったのに対し、約24cmの2万円のコースは14件でした。
ある出版社のキャラクターのプロジェクトでも、2018年に約25cmのぬいぐるみを付けた3,000円(送料込み)のコースに831人が支援した一方、約80cmで22万円のコースは3人でした。手に取りやすい金額のコースを主力にし、大きく高いものは数を絞って用意すると、作りすぎを防げるでしょう。小さなマスコットの作り方は、オリジナルぬいぐるみキーホルダーの作り方で紹介しています。
施設は招待券などとセットにする
動物園や水族館のような施設なら、ぬいぐるみに入場券やお礼のメールなどを組み合わせて、高めの金額のコースにする方法があります。ある動物園は、飼育員が監修した約30cmのぬいぐるみを入園チケットなどとセットにした2万5,000円のコースを3種類用意しました。
このプロジェクトは、目標の2,500万円を上回る支援を集めています。施設に来るきっかけと組み合わせれば、ぬいぐるみが訪れた記念にもなりますね。
支援数が読めないときの作る数と日程
ぬいぐるみのリターンは、公開前に見本を作って写真を撮り、終了して支援数が決まってから量産するのが基本です。限定数は公開後に増やせないので慎重に決め、お届け予定月は量産と発送の日数に余裕を持たせて書きましょう。
公開前に見本を作って写真を撮る
ぬいぐるみのリターンは、公開ページに載せる写真のために、先に見本を1つ作っておくのが基本です。READYFORの担当者も、リターンには写真を付けるよう勧めています。
RONECTの場合、見本となるサンプルは約2週間で作れますが、直す回数によって日数が延びます。サンプル代は別にかかるので、公開の1か月以上前には相談を始めると、写真の撮影まで余裕を持って進められるでしょう。
終了してから数を決めて量産する
量産は、終了して支援数が決まってから頼むと、作りすぎを防げます。あるアプリのキャラクターのマスコットは、2月下旬に終了し、3月中旬に量産を始め、5月中旬に発送する日程を示していました。
CAMPFIREの商品企画チームが手がけたキャラクターのぬいぐるみの企画でも、終了から約3か月後をお届け予定にし、目標に届いた時点で受注生産と同じ仕組みになると説明しています。ある程度の数がそろわないと作れない品なら、目標に届いたときだけ実施する「All or Nothing」の方式が合うでしょう。サンプルから納品までの流れは、オリジナルぬいぐるみ制作の流れと費用で紹介しています。
限定数は公開後に増やせない
リターンに付けた限定数は、公開後に増やせないのが一般的です。CAMPFIREは公開後のリターンの編集や限定数の変更を認めておらず、READYFORも「限定」と示した数は増やせないとしています。
CAMPFIREでは、売り切れたものと同じ内容は追加できず、価格を上げる、お届けを遅らせる、内容を変えるなど、先に支援した人が損をしない形なら追加できます。限定数は、工場に頼める数と日程に合わせて決めておくと安心です。
お届け予定月は余裕を持って書く
お届けの遅れは、支援者が困ることの中でも特に多い悩みです。消費者庁の会議で示された2020年の資料では、支援で困った経験がある137人のうち、42.3%が「提供時期が遅れた」と答えました。
同じ資料で、提供の時期に余裕を持たせるよう、公開前に実行者へ助言しているプラットフォームもあると紹介しています。ある水族館のプロジェクトでも、ぬいぐるみの発送の始まりが予定の月から2か月ほど遅れました。量産の日数に、検品や梱包、発送の日数まで足してお届け予定月を決めましょう。
リターンを届ける前に確かめる決まり
リターンの金額は、送料や消費税を含めた額で示し、支援者に別の負担をかけないのが基本です。遅れそうなときは早めに活動報告で知らせ、他人のキャラクターや全員へのプレゼントは審査や法律に触れないかを確かめましょう。
送料と消費税は金額に含めて書く
リターンの金額には、送料と消費税を含めておくのが原則です。2026年11月時点で、CAMPFIREは送料と消費税を含んだ金額で設定するよう定め、Makuakeも原則として送料込みとし、着払いなどでページに書いていない料金を請求することを禁じています。離島などで送料を足す場合は、ページに書いておきましょう。
READYFORも、リターンの金額のほかに支援者の負担が出るものは避けるよう求めています。ぬいぐるみはかさばって送料が高くなりやすいので、梱包の費用とあわせて最初から金額に入れておきましょう。
遅れるときは早めに活動報告で知らせる
お届けが遅れそうなときは、分かった時点で支援者に知らせましょう。Makuakeは、遅くとも配送予定月の1か月前までに、お詫びと理由、新しい予定を活動レポートで知らせるよう求めています。
2020年の消費者庁の会議の資料でも、支援で困った経験として「活動報告がされない、報告頻度が少ない」が25.5%挙がっていました。量産の進み具合を写真で報告すると、待っている支援者も安心できるでしょう。
他人のキャラや全員プレゼントに注意する
他人のキャラクターを使ったリターンは、権利者の許可が無ければ作れません。CAMPFIREも審査の基準で、元の作品をもとにしたリターンには元の作品の権利者の許可が要るとしています。
支援者全員に配るプレゼントは、景品表示法の総付景品に当たる可能性があるとして、CAMPFIREは注意を促していました。権利の考え方はぬいぐるみの著作権で紹介しています。
リターンのぬいぐるみをRONECTで作る場合
RONECTは、オリジナルぬいぐるみやマスコットキーホルダーをOEMで作る会社です。自分たちが権利を持つキャラクターなら、公開前の見本の1個から、終了後の量産まで相談できます。
見本の1個から量産まで相談できる
RONECTは、ぬいぐるみを1個から受けているのが特徴です。公開ページの写真に使う見本を先に作り、終了して支援数が決まってから量産を頼む、という進め方にも合わせられます。1個のときの料金は、絵と大きさをうかがって見積もります。
100個注文時の参考料金と期間の目安
RONECTのぬいぐるみの参考料金は、100個注文したときで高さ8〜15cmが1個1,500〜1,800円、20〜30cmが2,000〜3,000円です。約8cmで1個約1,000円の例もあり、マスコットの大きさを100個作るなら1個1,000〜1,800円ほどが目安です。
料金は仕様や数量、為替によって変わります。100個を量産するときは本体とは別にサンプル代が20,000〜30,000円かかり、配送費が別になる場合もあります。見本だけを先に作るときの費用は、見積もりで確かめてください。500個からは価格が安くなるので、支援数が伸びたときの見積もりも取っておくと安心です。100個注文時の参考料金の表はRONECTのぬいぐるみ制作のページに、数量ごとの考え方はぬいぐるみOEMの単価と頼み方にまとめています。
期間はRONECTの場合、全体で約2〜3か月が目安で、終了後の量産だけでも約30〜40日かかります。輸入と国内への納品、支援者への発送の日数は別に見込んでおきましょう。
AIの完成イメージを企画づくりに使う
RONECTでは、キャラクターの絵からAIで完成イメージの画像を無料で作っています。社内で仕上がりの雰囲気をつかむのに役立つでしょう。キャラクターの絵を外部の絵師に描いてもらった場合は、契約や規約でAIへの入力が認められているかを先に確かめてください。
画像はあくまでイメージのため、実物とは形や色が違う場合があります。公開ページには、見本の実物の写真を載せると、届く品との違いが出にくくなるでしょう。
まとめ
クラウドファンディングのリターンは、1万円前後を軸に段を分け、手数料や送料を引いた手元の額から目標を決めます。ぬいぐるみは手に取りやすい金額のコースを主力にし、公開前に見本の写真を用意して、終了後に数を決めて量産すると作りすぎを防げます。
まずはリターンの段と、それぞれの限定数の上限を書き出してみてください。
株式会社RONECTでは、ご自身のキャラクターのぬいぐるみを見本の1個から、100個以上の量産まで承っています。公開前の見本づくりのご相談もお気軽にどうぞ。

