「新刊の無配や購入特典を、ほかのサークルと被らないものにしたい」。同人のノベルティを考えても、何を配れば喜ばれるのか、部数と予算をどう決めればよいのか、不安が先に立つ方も少なくないでしょう。イベントの日に間に合うのか、という迷いも重なります。
そこで本記事では、無配と購入特典の違いから、紙の品・缶バッジ・ぬいぐるみマスコットまでの比べ方、部数と予算の決め方を紹介します。自分のサークルに合う品を、同じ物差しで選べるようになるはずです。
あわせて、ぬいぐるみマスコットを特典にするときの渡し方と日程、配る前に確かめるイベントの決まりと権利も同じ流れで解説します。
同人ノベルティは無配と購入特典で選び方が違う
同人ノベルティは、来た人に広く配る無料配布(無配)と、本を買った人に渡す購入特典で、向く品が変わるのが特徴です。無配は1個の費用を抑えた品、購入特典は少し特別な品にするのが基本で、どちらもイベントの決まりに従って配ります。
無配は全員に配るので1個の費用を抑える
無配は、スペースに立ち寄った人に広く配る品なので、数が多くなりがちです。1個あたりの費用を抑えられるペーパーやポストカード、しおりなどの紙の品が中心です。
配る場所にも決まりがあります。コミティアでは、ほかのサークルのスペースにチラシを置くことや、通路や出入り口で不特定多数に配ることを認めていません。無配は自分のスペースで、手に取ってもらう形で配りましょう。
購入特典は本を買った人への特別な品
購入特典は、本を買ってくれた人へのお礼として渡す品です。渡す相手が本の部数までに限られるので、無配より1個に費用をかけた品にできます。
缶バッジやアクリルキーホルダー、ぬいぐるみマスコットのように、手元に残る品が向いています。本の部数に合わせて作れば、作りすぎも防ぎやすくなるはずです。
おまけでも二次創作かは1点ずつ判断される
購入特典も、イベントの決まりの対象になります。コミティアの案内では、おまけのような形で渡す物でも二次創作かどうかは1点ずつ判断し、有料か無料かでは区別しないとしています。
コミティアはオリジナル作品の即売会なので、二次創作が主の作品は、おまけでも配れません。飲食物の決まりでも、作品を買った人へのおまけやセットの一部として渡す形を「無料配布」に含めているので、お菓子を特典に付けるときも個包装の市販品に限られます。
同人ノベルティの定番と比べ方
同人ノベルティの定番は、ペーパーやしおりなどの紙の品と、缶バッジやアクリルの品です。紙の品は少ない部数でも作りやすく、缶バッジは多くの人がたくさん持っている定番なので、持ち帰って使ってもらえるかで選びましょう。
ペーパーやしおりは版の要らない印刷で作れる
ペーパーやポストカード、しおりは、版の要らないデジタル印刷なら少ない部数でも作れるのが利点です。日本印刷産業連合会は2008年の報告書で、デジタル印刷は版が要らず、これまで費用の面であきらめていた小部数の印刷も受けられると説明しています。
日本印刷技術協会も、少ない部数を短い日数で刷る印刷をオンデマンド印刷と紹介しています。イベントの直前に部数を決めたい無配には、ぴったりの作り方ですね。
缶バッジは多くの人が持つ定番
缶バッジは、推し活をする人がたくさん持っている定番の品です。楽天インサイトが2023年10月に推し活をする20〜69歳1,000人へインターネットで行った調査では、グッズを買った人の平均の所持数は缶バッジが8.8個、キーホルダーが6.2個、アクリルスタンドが3.3個でした。
同じ調査で、ぬいぐるみは2.5個でした。缶バッジのように多く持たれている品ほど、もらう側の手元にはほかのサークルの品も集まりやすいと考えられるでしょう。定番を選ぶなら、絵柄や形で作品らしさを出す工夫をしましょう。
持ち帰って使ってもらえる品を選ぶ
ノベルティは、受け取った人が持ち帰って使ってくれてこそ、サークルを覚えてもらうきっかけになります。コミティアは、ほかのスペースへのチラシ配布をやめた理由の一つに、読まれないままのチラシが毎回大量に捨てられていたことを挙げています。
本にはさむしおり、スマホやノートに貼れるステッカー、バッグに付けられるマスコットのように、使う場面が思い浮かぶ品を選ぶと、手元に残りやすいでしょう。
品ごとの違いを表で比べる
主な同人ノベルティの違いをまとめると、次のとおりです。
| 品 | 少ない部数 | 向く配り方 | もらった人の使い道 |
|---|---|---|---|
| ペーパー・ポストカード | 版が要らず作りやすい | 無配 | 読む・飾る |
| しおり・ステッカー | 版が要らず作りやすい | 無配・購入特典 | 本にはさむ・貼る |
| 缶バッジ・アクリルキーホルダー | 少ない数で頼みやすい | 購入特典 | バッグに付ける・飾る |
| ぬいぐるみマスコット | 1個から受ける会社もある | 数を絞った特典 | 持ち歩く・一緒に撮る |
紙の品は無配に、手元に残る品は購入特典に、と分けて考えると選びやすいでしょう。ぬいぐるみマスコットは1個あたりの費用が高めなので、数を絞った特典に向いています。
同人ノベルティの部数と予算の決め方
同人ノベルティの数は、頒布する本の部数に合わせて決め、特典にかける費用は本の値段とのつり合いで考えるのが基本です。日付を入れないデザインにしておけば、余っても次のイベントや通販に回せます。
頒布する部数から作る数を決める
購入特典は新刊の部数に、無配はスペースに立ち寄ってくれそうな人の数に合わせて作りましょう。コミックマーケット準備会の研究チームが2011年に公表した調査では、2009年冬のコミケで頒布した部数が100部以下のサークルが過半数でした。
古い調査ですが、当時は半数以上のサークルが100部以下の規模だったことになります。初めての特典は、本の部数より多く作らないところから始めると安心です。
特典の値段は本の値段とのつり合いで考える
特典に費用をかけすぎると、本が売れても手元に残るお金が減ります。同じ調査では、2009年の1年間の収支が赤字のサークルが、男性で66.9%、女性で66.2%でした。コミケ以外の即売会や委託販売も含めた収支でした。ぬいぐるみなどの同人グッズの作り方と即売会までの日程は、同人グッズ制作の進め方で紹介しています。
同人サークルの特典が景品表示法の対象になるかの公式な説明は見当たりませんが、くり返し頒布するなら、景品の上限を目安にすると安心です。消費者庁の基準では、取引の金額が1,000円未満なら200円まで、1,000円以上なら取引の金額の10分の2までです。景品の値段は、作った費用だけで決まらず、もらう人がふつうに買うときの値段で考えます。市販されていない物は、作った費用や似た品の値段から見積もる形です。
余った特典は次のイベントや通販に回す
特典が余ったときに困らないよう、イベントの名前や日付を入れないデザインにしておくと、次のイベントや通販の特典に回せます。新刊にだけ付けるのではなく、既刊のセットに付けるのも一つの手です。
どこで配るかを先に決めてから数を見積もると、作りすぎを防げます。通販で付ける場合も、他人のキャラクターを使わないという権利の考え方は同じです。
ぬいぐるみマスコットを同人ノベルティにするとき
ぬいぐるみマスコットは、1個あたりの費用が紙の品より高いぶん、数を絞った記念の特典に向いています。限定にするなら列ができない渡し方を決め、イベントの3〜4か月前には相談を始めましょう。
数を絞った記念の特典に向いている
ぬいぐるみマスコットは、推しのグッズの中でも特に好まれる品です。タイトーが2026年10月に、調査会社のモニターで推しがいる10〜30代500人に行ったアンケートでは、特に好きなグッズを5つまで選ぶと「ぬいぐるみ(小・中)」が3年続けて1位でした。
同じ調査で、2026年に流行したと思う推し活グッズの1位は目印マスコットです。周年記念の本やセットで買った人への特典など、数を絞った特別な場面に使うと、ほかのサークルと差をつけやすくなるでしょう。配る品としての形や大きさの選び方はノベルティ用ぬいぐるみの選び方、小さなマスコットの作り方はオリジナルぬいぐるみキーホルダーの作り方で紹介しています。
先着や限定は列ができない渡し方にする
数を絞った特典は、渡し方を決めておかないと、スペースの前に人が集まりすぎるおそれもあるでしょう。COMIC CITYなどを開く赤ブーブー通信社は、周りに不要な混雑を招く限定頒布を禁止し、コミケも周りに迷惑をかける形の時差頒布を禁止しています。
本を買った人に会計のときに手渡す、事前にSNSで数と渡し方を知らせておく、といった形なら混雑を防ぎやすいでしょう。マスコットは1個の値段が景品の上限の目安を超えやすいので、「マスコット付きセット」として値段を示して売る形にすると、景品ではなくセットの商品として扱われやすくなると消費者庁のQ&Aからも読み取れます。
イベントの3〜4か月前に相談を始める
ぬいぐるみマスコットは、サンプルを作って確かめてから量産するため、紙の品より日数がかかるのが難点です。RONECTの場合、サンプルに約2週間、量産に約30〜40日かかり、全体で約2〜3か月が目安です。
公的機関の例でも、自衛隊香川地方協力本部は2026年6月の調達の仕様書で、約10cmのぬいぐるみキーホルダー500個の納期を約3か月半後としていました。コミケのように当選が分かるのが開催の2か月ほど前のイベント(2026年夏の回は約10週間前、冬の回は約7週間前)では、当落を待たずに相談を始め、落選したら通販や次のイベントに回すと決めておくと安心です。サンプルから納品までの流れは、オリジナルぬいぐるみ制作の流れと費用で紹介しています。
配る前に確かめるイベントの決まりと権利
同人ノベルティは、無料で配る品でも、他人のキャラクターを使うなら権利者の許可が要ります。お菓子や既製品の扱い、小さな部品の安全も、参加するイベントの案内で配る前に確かめましょう。
無料で配っても他人のキャラは許可が要る
他人のキャラクターを使った二次創作は、ネットで公開するだけでも、もうけを目的にしなくても、原則として権利者の許可が必要だと文化庁は説明しています。2026年8月に定められた権利者のガイドラインには、頒布を「有償または無償で第三者に提供すること」とする例もあります。
権利者の許可が確かめられない他人のキャラクターは、無料のノベルティでも、頼む側も制作会社も作れないのが原則です。自分で考えたキャラクターやサークルのロゴなら、安心して作れるはずです。権利の考え方はぬいぐるみの著作権で紹介しています。
お菓子や既製品はイベントごとに決まりが違う
無配にお菓子を添えるなら、イベントごとの決まりを確かめましょう。コミティアは個包装で未開封の市販品だけを認め、手作りの食べ物は有料でも無料でも配れません。
赤ブーブー通信社のイベントも市販品の頒布を禁止しつつ、個包装の市販の菓子を無償で配ることは認めています。コミケも、食品は常温で長く保存できる包装されたものに限るなど条件があるので、参加する回の案内で確かめましょう。
小さな部品は子どもの手に渡らないようにする
即売会には、子ども連れで来る人もいます。消費者庁の消費者安全調査委員会は2017年の報告書で、6〜20mmほどの物は乳幼児がのどに詰まらせるおそれがあるとして、手の届かない所に置くよう呼びかけています。
缶バッジのピンや小さなパーツの付いた品は、小さな子に直接渡さないようにしましょう。ぬいぐるみマスコットも、目や鼻を部品にするか刺繍にするかを、渡す相手に合わせて制作会社と相談しておくと安心です。
同人ノベルティのマスコットをRONECTで作る場合
RONECTは、オリジナルぬいぐるみやマスコットキーホルダーをOEMで作る会社です。自分の作品のマスコットなら、個人やサークルも1個から相談できます。
1個から配る数まで相談できる
RONECTは、ぬいぐるみを1個から受けているのが特徴です。まず1体で形を確かめたい場合も、特典の数をそろえたい場合も相談でき、1個のときの料金は絵と大きさをうかがって見積もります。
100個注文時の参考料金と期間の目安
RONECTのぬいぐるみの参考料金は、100個注文したときで高さ8〜15cmが1個1,500〜1,800円、20〜30cmが2,000〜3,000円です。約8cmで1個約1,000円の例もあり、マスコットの大きさを100個作るなら1個1,000〜1,800円ほどが目安です。
料金は仕様や数量、為替によって変わり、サンプル代が別に20,000〜30,000円、配送費が別になる場合もあります。100個注文時の参考料金の表はRONECTのぬいぐるみ制作のページに、数量ごとの考え方はぬいぐるみOEMの単価と頼み方にまとめています。
期間はRONECTの場合、全体で約2〜3か月が目安で、仕様や修正の回数、輸送の状況で前後する点も見込んでおきましょう。
AIの完成イメージは見え方の確認に使う
RONECTでは、キャラクターの絵からAIで完成イメージの画像を無料で作っています。サンプルの前に、マスコットになったときの見え方を確かめられるのが利点です。絵師に描いてもらった絵を使うなら、契約や規約でAIへの入力が認められているかを先に確かめてください。
画像はあくまでイメージのため、実物とは形や色が違う場合があります。コミティアは2026年6月から、AIの生成物を使ったグッズの頒布を認めていません。配るマスコットのデザインは自分の絵をもとにし、AIの画像は見え方の確認だけに使いましょう。
まとめ
同人ノベルティは、無配なら費用を抑えた紙の品、購入特典なら缶バッジやアクリル、数を絞った記念の特典ならぬいぐるみマスコットと、配り方で選ぶと迷いません。数は本の部数に合わせ、イベントの決まりと権利も配る前に確かめましょう。
まずは次のイベントで頒布する部数と、無配・特典それぞれの予算を書き出してみてください。
株式会社RONECTでは、ご自身のオリジナル作品のマスコットを1個から、100個以上の量産まで承っています。特典の数が決まる前のご相談もお気軽にどうぞ。

