ミュージアムグッズのぬいぐるみ|施設らしい企画と売価・数の決め方
「うちの施設らしいミュージアムグッズとして、オリジナルのぬいぐるみを作れないだろうか」。そう考えても、何をぬいぐるみにすれば売れるのか、何個作っていくらで売ればよいのか、売れ残ったらどうするのかと、初めてだと不安が先に立ちますよね。監修や権利、オープンや企画展に間に合うかという心配も重なります。
そこで本記事では、水族館や動物園、美術館などの事例をもとに、施設らしいぬいぐるみの企画のコツを紹介します。売価と最初に作る数の決め方も分かるので、予算と日程を組み立てやすくなるはずです。
あわせて、作品やロゴを使うときの権利の確認、発注から売り場に並ぶまでの流れも同じ流れで解説します。
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ミュージアムグッズにぬいぐるみが選ばれる理由と事例
ぬいぐるみは、展示で出会った生き物や作品を、触れる形で家まで持ち帰ってもらえるミュージアムグッズです。水族館や動物園の看板の生き物から、美術館の収蔵品まで、施設らしい題材で作られています。
展示の話を家まで持ち帰ってもらえる
ミュージアムグッズの研究者が紹介する先行研究によると、ミュージアムショップは来館の最初と最後に出会う可能性がある場所で、施設の印象全体を左右するかもしれないとされています。グッズは収入を得る手段であると同時に、施設の考え方を伝える役目も持つものです。
日本博物館協会が令和6年度に全国の博物館に行った調査(速報。2,407館が回答)では、グッズを売る場所がある館は水族館で85.4%、動物園で80.5%、美術館で86.7%でした。部屋に飾られ、手に取るたびに展示の記憶を思い出してもらえるのは、ぬいぐるみならではの良さです。
水族館や動物園は看板の生き物を形にする
水族館や動物園では、施設の看板の生き物をぬいぐるみにするのが定番です。京都水族館のオオサンショウウオのぬいぐるみは、2019年の記事で、ミュージアムショップで最も売れている商品と紹介され、約20cmから約170cmまで5つの大きさがそろっていました。
上野動物園では2017年、生まれたばかりのパンダの赤ちゃんを実物と同じ重さで再現したぬいぐるみを、年内分として各3,000個用意したところ、3日で売り切れました。話題の時期に合わせ、本物らしさにこだわった企画の例です。
美術館や博物館は収蔵品も題材になる
生き物だけでなく、収蔵品や展示の目玉もぬいぐるみになります。静嘉堂文庫美術館は、収蔵品の茶碗「曜変天目」を2022年にほぼ実寸のぬいぐるみにし、2025年には手のひらサイズのキーリングも出しました。
国立科学博物館の特別展「大絶滅展」(2025〜2026年)では、展示の古生物をぬいぐるみにし、ひっくり返すと3種類のウマの仲間に変わる品も作られました。触れることができない作品や標本を、触れるぬいぐるみにすることで、展示の楽しさを持ち帰ってもらえます。
施設のぬいぐるみの事例を比べる
公表されている施設オリジナルのぬいぐるみを、題材と工夫で比べると次のとおりです。
| 施設 | 題材 | 工夫 |
|---|---|---|
| 京都水族館 | オオサンショウウオ | 5つの大きさと冬の限定版 |
| 上野動物園 | パンダの赤ちゃん | 実物と同じ重さで再現 |
| 天王寺動物園 | キーウィ | 本物と同じ識別タグ |
| 静嘉堂文庫美術館 | 茶碗の曜変天目 | ほぼ実寸とキーリング |
| 伊勢シーパラダイス | タツノオトシゴ | 3サイズをくじで販売 |
事例は2017〜2025年の発表や記事によるもので、価格や数量は時点によって変わります。どの施設も、自分の施設にしかいない生き物や作品を題材にしている点が共通しています。
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施設らしいぬいぐるみを企画するコツ
施設らしいぬいぐるみにするには、展示の目玉で形にしやすい題材を選び、飼育員や学芸員の監修を入れ、売り場に合う大きさにすることが大切です。どこでも買える既製品と同じに見えないことが、お土産として選ばれる条件になります。
題材は展示の目玉と形のなりやすさで選ぶ
国立科学博物館の特別展でぬいぐるみの企画を担当した開発者は、展示されること、展示の目玉になること、人気が出そうなこと、ぬいぐるみにできそうなことを基準に題材を選んだと話しています。ぬいぐるみにすると、ただのワニにしか見えないとして見送った生き物もありました。
形の特徴がはっきりしていて、ぬいぐるみにしても「あの施設のあの生き物だ」と分かる題材を選びましょう。グラデーションや細かいまだら模様は再現しにくいので、色や模様を少し整理する前提で考えると作りやすくなります。
飼育員や学芸員の監修を入れる
上野動物園のグッズを手がける東京動物園協会は、初めて作るぬいぐるみは必ず飼育係の監修を受けるとしています。天王寺動物園のキーウィのぬいぐるみも飼育員が監修し、園のキーウィと同じ識別タグを付けました。
監修は、デザイン案の段階とサンプルの段階の2回入れると、作り直しを減らせます。かわいさと本物らしさのどちらを優先するかも、監修者と最初に決めておくとよいでしょう。
売り場に合う大きさと添える小物
日本博物館協会の令和6年度の同じ調査では、独立した売り場を持つのは動物園・水族館で7割を超える一方、博物館全体では2割強でした。受付で売る小さな館なら、場所を取らないマスコットやキーホルダーが向いているでしょう。
北海道大学総合博物館では、学生が企画した2025年のグッズに、学生が書いて研究者が監修した解説書を付けています。ぬいぐるみにも、生き物や作品の解説を書いた下げ札やカードを添えると、展示の話を家まで持ち帰ってもらえます。
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売価と最初に作る数の決め方
売価は、制作の原価だけでなく、来館者が払ってよいと思う値段と、ほかの施設の似たぬいぐるみの値段を並べて決めるのが基本です。最初は売り切れる数から始め、売れ行きを見て追加すると在庫を抱えずに済みます。
売価は原価と来館者の感覚と他館で決める
中小企業向けの公的な情報サイト J-Net21 は、価格は原価・需要・競合の3つを踏まえて決めるのが通常だとしています。原価に上乗せする額で、店の経費や売れ残り・破損の損、利益をまかなう考え方です。
原価には、制作単価に加えて送料や包装、下げ札、売れ残りの見込みも入れます。100個と500個の2通りで見積もりを取ると、売価との関係を比べやすくなるでしょう。
RONECTの参考料金は、100個注文時で高さ8〜15cmが1個1,500〜1,800円、サンプル代が別に2万〜3万円です。約8cmの制作例(100個から)では約1,000円で、料金は仕様や為替で変わり、送料が別にかかることもあります。
最初は売り切れる数から始めて追加する
2019年の記事で京都水族館の広報は、開館当初から人気のぬいぐるみでも、なぜこれほど売れるのか分からないと話しています。売れる理由がはっきりしない以上、最初は売り切れる見込みの数から始めましょう。
J-Net21 も、在庫を持ちすぎると保管の費用がかかり、売れ残れば値下げや廃棄の損になると説明しています。看板の生き物は定番として追加し、企画展や季節の限定品は1回で売り切る数にする、と分けて考えると在庫を抑えられます。海外で作る場合は、追加の生産にも量産と輸送の日数(RONECTの目安では量産だけで約30〜40日)がかかるので、売り切れる前に追加を決めることが大切です。
値札は税込で表示する
消費税法では、消費者にあらかじめ値段を示すときは税込価格で表示することが義務付けられています。売価は最初から税込で考え、制作会社の見積もりが税込か税抜かも確かめてから原価と比べましょう。
京都水族館が2025年に300個限定で出した冬のぬいぐるみは23,500円(税込)、静嘉堂文庫美術館の手のひらサイズのキーリングは3,600円(税込)でした。値段の幅は、大きさや限定の度合いでかなり広がるのが実情です。
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作品やロゴを使うときの権利の確認
施設のぬいぐるみでは、作品の著作権、写真や画像の利用、施設の名前やロゴの使い方の3つを分けて確かめます。施設が持っている作品でも、グッズにしてよいかは別に考えましょう。
収蔵品の著作権は作者の死後70年
著作権は原則として作者が亡くなった年の翌年から数えて70年、団体の名義の作品なら公表後70年続きます。江戸時代以前の作品や出土品などは著作権が切れていることが多い一方、近現代の作家の作品は、作者や遺族などの許可が要ることがあります。
施設が作品を持っていて展示できることと、ぬいぐるみにして売ることは別の話です。保護期間は改正で変わってきたので、古い作品や外国の作品も含め、作品ごとの判断は館の学芸員や権利の担当に確かめてから進めましょう。
撮影や館の画像を使うときは館の許可と規約に従う
著作権が切れた作品でも、作品を持つ施設は、作品の撮影や貸し出しを断ったり、対価を得て許したりできます。顔真卿の書をめぐる裁判の控訴審判決は、持ち主は撮影などを断ったり対価を得て許したりできる一方、著作権が切れた作品の写真そのものを持ち主が独り占めする権利は無いとして、持ち主の訴えを退けました。
館が用意した画像を使うときは、その館の利用規約に従いましょう。他館の収蔵品を題材にしたいときや、外部の会社がデザインの資料に写真を使うときも、その館の利用規約や許可の手続きを先に確かめておくと安心です。屋外にある彫刻を立体のぬいぐるみにして売る場合も、作者の許可が要ることがあります。
施設の名前やロゴの使用ルール
施設の名前やロゴ、キャラクターの権利は、施設を持つ自治体や運営の会社が持っている場合があるので、まず持ち主を確かめましょう。さいたま市大宮盆栽美術館の例では、ロゴを使うには市への申請と承諾、事前の見本の提出が必要で、美術館のグッズとして認証を受けた商品は、毎年の販売状況の報告も求められます。
キャラクターを外部のデザイナーに作ってもらった場合は、契約に「著作権法第27条・第28条の権利を含む」とあるかも確かめます。書かれていないと、ぬいぐるみにする権利などが作者に残っていると推定されるためです。
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発注から売り場に並ぶまでの流れ
施設のぬいぐるみは、運営者の決まりに沿って発注先を選び、制作に2〜3か月かかるので、監修の往復も見込んで3〜4か月前に動き出すのが基本です。子どもが手にする品なので、安全の決まりも発注の前に確かめておきましょう。
運営者の決まりに沿って発注先を選ぶ
公立の水族館や動物園では、運営を指定管理者が担うことが多く、日本博物館協会の令和6年度の調査(速報)では、回答した公立の水族館の75.9%、動物園の65.6%が指定管理者制度を取り入れていました(博物館全体では31.9%)。売店を誰が運営しているかで、ぬいぐるみを企画・発注する人と決まりが変わります。
自治体が直接買う場合は、少額の随意契約の上限や、2社以上から見積もりを取る決まりがあることが多いので、契約の担当に確かめましょう。同じ条件(大きさ・数量・包装・納期・送料)で複数社に見積もりを頼むと比べやすいでしょう。
企画展や繁忙期から逆算する日程
東京動物園協会のグッズ担当は、デザインの構想から完成まで短くても約2か月、長いと半年ほどかかると話しています。RONECTの目安でも、サンプルに約2週間、量産に約30〜40日、全体で約2〜3か月で、仕様や修正の回数、輸送の状況で変わります。
企画展の初日や夏休み、年末年始などに並べたいなら、監修の往復も見込んで3〜4か月前には相談を始めると安心です。2027年の春節(旧正月)は2月6日で、その前後は中国の工場が長く休むことが多いため、春の企画展に向けるなら年内にサンプルを確かめておきましょう。
子どもが手にする品として安全を確かめる
施設のお土産は、子どもが手にすることが多い品です。6歳未満の子が遊ぶぬいぐるみには食品衛生法の決まりがかかり、3歳未満向けとして作るなら子供PSCマークなどの決まりも加わります。
目や鼻を刺繍にして外れにくくする、対象年齢と注意書きを下げ札に書く、といった対応を制作会社と相談しましょう。安全の決まりの詳しい中身は、ぬいぐるみOEMの記事も参考にしてください。
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RONECTで施設のぬいぐるみを作る場合
株式会社RONECTでは、施設の看板の生き物や収蔵品、キャラクターをもとにしたぬいぐるみを100個から注文できます。完成イメージの作成からサンプル、量産、国内への納品までを、まとめて任せられる体制です。
完成イメージをAIで無料で作れる
RONECTでは、AIを使った完成イメージ画像の作成を無料で行っています。生き物の写真や作品の資料、キャラクターの絵を伝えれば、サンプルを作る前に仕上がりの雰囲気を確かめられます。
監修をお願いする飼育員や学芸員、館内の決裁に「こんなぬいぐるみになります」と画像で見せられるので、話し合いも進めやすくなりますよね。なお、AIの画像はあくまで完成イメージのため、実際の製品とは形や色が異なる場合があります。
大きさや生地・刺繍まで相談できる
サイズや生地、刺繍、綿の量、付属品、パッケージなど、細かな仕様も相談の対象です。デザインや予算を伝えると、作り方と費用のバランスを考えた仕様を提案してもらえます。
大きさを何種類にするか、キーホルダーやマグネットなどの小さな形にするか、解説の下げ札を付けるかといった迷いどころも、まとめて相談してみてください。ご当地のキャラクターのぬいぐるみについては、ご当地キャラクターのぬいぐるみの記事も参考になります。
日本人の担当者が工場とのやり取りを受け持つ
RONECTでは、中国語に対応できる日本人の担当者が、中国の提携工場と直接やり取りする体制です。中間の業者を通さないため余分な費用を抑えられ、監修で出た細かな修正の希望も中国語で工場に伝えられます。
サンプルの修正から量産、検品、輸入、日本国内の指定先への納品まで一括で対応するので、海外の工場と自分で交渉する必要はありません。相談と見積もりは無料で、料金の目安や制作事例はオリジナルぬいぐるみ制作のページで紹介しています。
相談だけならお金は一切かかりません。現地工場と直接取引しているプロスタッフが丁寧に対応します。
まとめ
施設のぬいぐるみは、展示の目玉で形にしやすい題材を選び、飼育員や学芸員の監修を入れると施設らしさが出ます。売価は原価・来館者の感覚・他館の値段で決め、最初は売り切れる数から始めて追加するのが基本です。
まずは題材の候補と並べたい時期を決め、監修者と制作会社に相談を始めましょう。
株式会社RONECTでは、AIによる完成イメージ画像の作成から国内への納品まで、日本人の担当者がぬいぐるみ制作をサポートしています。お気軽にご相談ください。
相談だけならお金は一切かかりません。現地工場と直接取引しているプロスタッフが丁寧に対応します。
この記事の出典
- artscape「大澤夏美|ミュージアムグッズ遊歩07──ミュージアムショップは人々にどう受け止められてきたのか」
- 日本博物館協会「令和6年度 日本の博物館総合調査 調査結果の概要(速報版)」
- デイリースポーツ「オオサンショウウオ“多頭飼い”がブーム!?キモカワ巨大ぬいぐるみが謎の人気」
- 京都水族館「オオサンショウウオツリー2025 展示開始」
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