「自分のキャラクターのぬいぐるみを、次の即売会に並べたい」。同人グッズの制作を考えても、何個から頼めるのか、イベントに間に合うのか、不安が先に立つ方も少なくないでしょう。ぬいぐるみは個人のサークルには難しいのでは、という迷いも重なります。
そこで本記事では、アクスタや缶バッジと比べたぬいぐるみの位置づけを整理し、ぬいぐるみを作る流れと、即売会の当落から逆算した日程を紹介します。準備するものと時期が分かるので、イベントに合わせた計画を立てやすくなるはずです。
あわせて、作る数と通販での売り方、税金の基本、同人グッズにできるオリジナルの範囲も同じ流れで解説します。
同人グッズを頒布できる場と広がり
同人誌の市場は伸びており、即売会や通販で作品を届ける場は広がっています。大きな即売会には2日で25万人以上が集まり、オリジナル作品だけを扱う即売会もあるので、作ったグッズを届ける場には事欠きません。
頒布は売ることも配ることも含む
同人の世界でよく使う「頒布」は、売ることも、無料で配ることも含む言葉です。コミティアの案内では、不特定多数に物を販売または配布することと説明しています。
同人誌の市場も伸び続けているのが現状です。矢野経済研究所は2025年2月に、2023年度の同人誌市場が前年度より37.9%増えたと発表し、2026年1月には4期続けて成長したと発表しました。同研究所は、即売会の参加者の回復やデータ販売の定着が、この伸びを支えたと分析しています。
コミケには2日で25万人以上が集まる
代表的な即売会のコミックマーケット(コミケ)には、主催者の発表で2日間に25万〜30万人が参加しています。2026年8月の回は、サークル・スペース数が約2万3,000、参加者総数が約26万人でした。
即売会はコミケだけではありません。日本芸術文化振興会の報告書によると、2018年に開かれた同人誌即売会は、会場内の小さなオンリーイベントなども数えると2,432イベントでした。地元の即売会から始めて、反応を見ながら大きな会に広げる進め方もできます。
オリジナルだけの即売会もある
コミティアは、オリジナル作品(一次創作)だけを頒布できる即売会です。年4回、東京ビッグサイトで開かれ、1回に約4,000〜7,000のサークルが出展し、2万〜3万人ほどが来場します。
コミティアでは、オリジナルならイラストや小説のほか、グッズも発表できます。自分で考えたキャラクターのぬいぐるみなら、こうした場でファンに直接手に取ってもらえるのが魅力ですね。
同人グッズの種類とぬいぐるみの位置づけ
同人グッズは、アクリルスタンドや缶バッジのように絵を印刷する品が手軽で、少ない部数から作れます。ぬいぐるみは日数と手間がかかる一方、ファンに好まれるグッズの上位で、ほかのサークルと差をつけやすい目玉になりえます。
アクスタや缶バッジは少ない部数で作りやすい
アクリルスタンド(アクスタ)や缶バッジは、描いた絵をそのまま印刷して作れるので、少ない部数でも頼みやすい品です。版の要らないデジタル印刷なら、版を作る費用がかからず小さな部数にも向くと、日本印刷産業連合会も2008年の報告書で説明しています。
静岡県工業技術研究所も、UVプリンタを使えばアクリルのキーホルダーなどを簡単に試作できると紹介しています。缶バッジも、印刷から圧着まで自動で行い1個単位でも作れる業務用の装置が2024年12月下旬に発売されると、日刊工業新聞が伝えました。新刊のおまけや初めてのグッズとして、まず少ない数で試すのに向いた品です。無配や購入特典に合う品と部数の決め方は、同人ノベルティの選び方で紹介しています。
ぬいぐるみは推しのグッズで好まれる1位
ぬいぐるみは、推しのグッズの中でも特に好まれる品です。タイトーが2026年10月に、調査会社のモニターで推しがいる10〜30代500人に行ったアンケートでは、特に好きなグッズを5つまで選ぶと、「ぬいぐるみ(小・中)」が3年続けて1位でした。
同人に限った調査ではありませんが、グッズと一緒に写真を撮る「ぬい撮り」をしたことがある人も44.0%いました。コミティアの代表(当時)も2019年、日本芸術文化振興会の調査の聞き取りで、Webで見られる作品でも形のあるモノにして持っていたいという感覚があると話していました。形のあるグッズの中でも、立体のぬいぐるみは作品のファンにとって特別な一品になりやすいでしょう。小さなマスコットにする方法は、オリジナルぬいぐるみキーホルダーの作り方で紹介しています。
品ごとの違いと頼み先を表で比べる
主な同人グッズの違いと頼み先をまとめると、次のとおりです。
| 品 | 少ない部数 | 主な頼み先 | ファンの使い方 |
|---|---|---|---|
| アクリルスタンド・キーホルダー | 頼みやすい | 印刷のグッズの通販 | 飾る・持ち歩く |
| 缶バッジ | 頼みやすい | 印刷のグッズの通販 | バッグに付ける |
| ぬいぐるみ・マスコット | 1個から受ける会社もある | ぬいぐるみの制作会社 | 抱く・一緒に撮る |
ぬいぐるみは型紙と見本が要るので、印刷のグッズより日数がかかる点は知っておきましょう。頼み先の種類と選び方は、グッズ制作会社の種類と選び方でくわしく紹介しています。
同人グッズのぬいぐるみを作る流れと日程
同人グッズのぬいぐるみは、自分の絵の正面と横・後ろをそろえ、サンプルで顔や形を直してから量産します。RONECTの場合で全体に約2〜3か月かかるので、即売会の当落や会場への届け方まで逆算して動き出しましょう。
自分の絵の正面と横・後ろをそろえる
ぬいぐるみにするには、キャラクターの正面だけでなく、横と後ろの姿、髪や服の色の指定をそろえます。RONECTも、前・後ろ・横の写真やデザイン画をもとに作ると案内しています。
自衛隊香川地方協力本部が2026年6月に発注した約10cmのぬいぐるみキーホルダーの仕様書でも、目や眉は刺繍、服は印刷と、部分ごとの表し方まで決めていました。平面の絵しか無いときは、後ろ姿を描き足すところから始めると、仕上がりのずれを減らせるでしょう。絵を立体向けに整えるコツは、キャラクターのぬいぐるみの作り方で紹介しています。
サンプルで顔と形を直してから量産する
ぬいぐるみは、サンプルで顔や形を確かめて直してから量産に入ります。RONECTの場合、サンプルに約2週間、量産に約30〜40日かかり、全体で約2〜3か月が目安です。
立体にすると、絵とまったく同じ姿にはなりません。表情の直しに何回かかるかで日数が延びるので、余裕を持たせておきましょう。売るなら、個包装やタグの希望も見積もりのときに伝えておくと、話が早く進みます。サンプルから納品までの流れは、オリジナルぬいぐるみ制作の流れと費用で紹介しています。
コミケは当落の前に動き出す
コミケに出すなら、当選が分かる前にぬいぐるみの準備を始めるのが安全です。2026年8月15・16日の回は、申し込みが2月17日〜3月2日、当落の通知が6月5日の予定で、当選が分かるのは開催の約10週間前でした。
RONECTの場合、ぬいぐるみは全体で約2〜3か月かかるため、当落を待ってからでは間に合わないことがあります。先に作り始め、落選したら通販や次の即売会に回すと決めておけば、作ったぬいぐるみを無駄にせずに済むはずです。
会場への届け方を先に決めておく
できあがったぬいぐるみを会場にどう運ぶかも、作る前に決めておくと安心です。コミティアの案内では、一部の印刷会社などが会場に納品する直接搬入のほか、宅配で会場に送る方法や、自宅に届けてから自分で運ぶ方法が挙げられています。
ぬいぐるみの制作会社が会場への直接搬入に対応しているとは限りません。自宅などの届け先に送ってもらい、宅配か手持ちで会場へ運ぶ計画にしておくと安心です。なお、グッズ類の見本の提出は、コミケでは基本的に不要ですが受付で確認があり、コミティアでは成人向けを除いて任意とされています。
同人グッズの作る数と売り方
同人グッズは、初めは少ない数で反応を見て、人気が分かってから受注や追加で数を増やすと、売れ残りを抑えられます。通販で受注販売をするなら、届く時期と返品の条件を書き、売上が出たら税金の決まりも確かめておきましょう。
初めは少ない数で反応を見る
初めてのぬいぐるみは、即売会で手に取ってもらえる数から作り、反応を見るのが無理のない進め方です。売れ残った在庫は、置き場所も費用もかかり続けます。
ただし、数が少ないほど1個あたりの値段は上がり、追加で作るにも日数がかかります。人気が見込めるなら、通販で注文を受けてから数を決める受注販売と組み合わせると、数を読みやすくなるでしょう。企業の公式グッズにも、受注で売ったあとに在庫の販売を予定する例があります。
受注販売は届く時期と返品の条件を書く
同じグッズを通販でくり返し売るなら、本人にもうけるつもりが無くても、売り方から販売業者と判断されれば、個人でも特定商取引法の決まった表示が要ります。受注販売のページには、届く時期を「○月○日まで」のように書き、「予約は入荷次第」のような書き方は避けましょう。代金を先に受け取って届くまで時間がかかるなら、注文を受けたかどうかや届く時期などを知らせる通知も必要です。
返品を受けないなら、「商品に欠陥がある場合を除き、返品には応じません。」のように、はっきり書いておきましょう。名前や住所、電話番号は、「請求があれば遅滞なく知らせる」と表示し、請求があれば申し込みの前に知らせられる用意をしておけば、表示を省ける場合があります。くわしい決まりは、消費者庁の通信販売のQ&Aで確かめてください。
税金は売上から経費を引いた所得で考える
同人グッズの売上から得たもうけ(所得)も、税金の対象です。国税庁は、副業の所得を雑所得の例に挙げ、所得は売上から必要な経費を引いた額だと説明しています。
給与を1か所から受け、その全部が源泉徴収されている会社員は、給与以外の所得が合計で20万円を超えると確定申告が必要です。給与の無い人などは条件が違います。材料費や制作費、即売会の参加費などの領収書を残しておきましょう。事業所得か雑所得かの区別や住民税の申告は、税務署や市区町村に確かめると安心です。
同人グッズにできるオリジナルの範囲
同人グッズを制作会社に頼むなら、自分で考えたオリジナルのキャラクターに限るのが基本です。他人のキャラクターだけでなく、よその子や人気作の衣装を使ったものも二次創作になりうるので、作る前に確かめましょう。
他人のキャラは許可なくグッズにできない
他人のキャラクターを使った二次創作は、ネットで公開するだけでも原則として権利者の許可が必要だと文化庁は説明しています。もうけを目的にしなくても同じで、黙って見逃されていることは許可ではありません。グッズにして頒布するなら、なおさら許可が欠かせないでしょう。
権利者のガイドラインでも、フィギュアなどの立体物の販売は特定のイベントに限る、受注生産を制限する、といった決まりを設けている例があります。権利者の許可が確かめられない他人のキャラクターは、頼む側も制作会社も作れないのが原則です。くわしくはぬいぐるみの著作権で紹介しています。
よその子や人気作の衣装は二次創作の扱いになりうる
自分の作品のつもりでも、二次創作に当たることがあります。コミティアの案内では、ほかの人が考えたキャラクター(よその子)も、その権利者が二次創作と判断すれば二次創作の扱いです。
コミティアの基準では、SNSの企画で作ったキャラクターも、企画の世界観や設定を使えば二次創作の扱いです。アニメやゲームのキャラクターの服と明らかに分かる衣装を着せた場合も同じなので、ぬいぐるみの服も自分でデザインしたものにしましょう。
絵師に頼んだ絵は立体化の許可を確かめる
キャラクターの絵をほかの人に描いてもらったなら、ぬいぐるみにする許可が必要かを確かめましょう。文化庁は、キャラクターの絵から着ぐるみを作ることを、元の作品をもとにした新しい作品の例に挙げています。別のポーズや衣装を描くことも「翻案」に当たることが多く、著作権を持つ人の許可が要るとしています。
権利を譲り受けるなら、契約書に著作権法第27条と第28条の権利を含むと書くのが文化庁の説明です。絵を意に反して変えられない権利(同一性保持権)など、描いた人に残る著作者人格権は譲れないため、その権利を使わない約束を入れる例もあります。
同人グッズのぬいぐるみをRONECTで作る場合
RONECTは、オリジナルぬいぐるみやマスコットキーホルダーをOEMで作る会社で、自分の作品のぬいぐるみなら、個人やサークルも1個から相談できます。
1個から頒布する数まで相談できる
RONECTは、ぬいぐるみを1個から受けているのが特徴です。まず1体で形を確かめたい場合も、即売会で頒布する数をそろえたい場合も相談でき、1個のときの料金は絵と大きさをうかがって見積もります。
自分の作品なら、アクリルスタンドなどの制作もあわせて相談できます。RONECTの場合、アクリルスタンドも全体で約2〜3か月が目安なので、ぬいぐるみと同じ日程で準備しましょう。
100個注文時の参考料金と期間の目安
RONECTのぬいぐるみの参考料金は、100個注文したときで高さ8〜15cmが1個1,500〜1,800円、20〜30cmが2,000〜3,000円です。約8cmで1個約1,000円の例もあり、マスコットの大きさを100個作るなら1個1,000〜1,800円ほどが目安です。
料金は仕様や数量、為替によって変わり、サンプル代が別に20,000〜30,000円、配送費が別になる場合もあります。料金表はRONECTのぬいぐるみ制作のページに、数量ごとの考え方はぬいぐるみOEMの単価と頼み方にまとめています。
期間はRONECTの場合、全体で約2〜3か月が目安で、仕様や修正の回数、輸送の状況で前後する点も見込んでおきましょう。
AIの完成イメージは見え方の確認に使う
RONECTでは、キャラクターの絵からAIで完成イメージの画像を無料で作っています。サンプルの前に、ぬいぐるみになったときの見え方を確かめられるのが利点です。絵師に描いてもらった絵を使うなら、契約や規約でAIへの入力が認められているかを先に確かめてください。
画像はあくまでイメージのため、実物とは形や色が違う場合があります。コミティアは2026年6月から、AIの生成物を使ったグッズの頒布を認めていません。頒布するぬいぐるみのデザインは自分の絵をもとにし、AIの画像は見え方の確認だけに使いましょう。
まとめ
同人グッズは、アクスタや缶バッジで手軽に始め、作品の目玉にぬいぐるみを加えると、ほかのサークルと差をつけやすくなるでしょう。ぬいぐるみはRONECTの場合で全体に約2〜3か月かかるので、即売会の当落を待たずに動き、初めは少ない数で反応を見ましょう。
まずは自分のキャラクターの正面・横・後ろの絵をそろえ、出たい即売会の日から逆算してみてください。
株式会社RONECTでは、ご自身のオリジナル作品のぬいぐるみを1個から、100個以上の量産まで承っています。作る数が決まる前のご相談もお気軽にどうぞ。

