「会社のマスコットキャラクターを作りたいけれど、何から決めて、だれに描いてもらえばいいのだろう」。初めてマスコットキャラクターを作る企業や自治体、学校の担当の方は、手順も頼み先も分からず迷ってしまいますよね。
先に結論をお伝えすると、マスコットキャラクターは「目的と使う場面」「設定」「描く人」「ラフ」「清書」「権利」の6つを順に決めると、迷わずに進められます。ぬいぐるみや着ぐるみにするなら、形を決める段階で立体にしやすいかも確かめましょう。
この記事では、6つの手順に加えて、公募やデザイナーに頼むときの費用の目安、著作権と商標の決め方、グッズにしやすい絵の条件までまとめました。社内で「どう作り、だれに頼み、いつまでに決めるか」を説明しやすくなります。
マスコットキャラクターとは?作るメリット
マスコットキャラクターは、企業や自治体、学校などが自分たちの顔として作るキャラクターです。名前と姿を覚えてもらい、親しみを持ってもらう役割があります。
マスコットには2つの意味がある
辞書のデジタル大辞泉には、マスコットの意味として「幸運をもたらすお守りとして身近に置いて大切にする物」と、「企業やイベントなどのシンボルとなるキャラクター」の2つが載っています。この記事で扱うのは後者の、会社や団体の顔として作るキャラクターです。
言葉の成り立ちや、ぬいぐるみ・人形との違いは、マスコットの記事で詳しく説明しています。
イメージキャラクターは本来は実在の人物
よく似た言葉の「イメージキャラクター」は、同じ辞書で「企業や商品を象徴するのにふさわしい人で、広告にいつも登場し、企業や商品のイメージづくりをする人」と説明されています。もとはタレントなど実在の人物を指す言葉です。
実際には絵のキャラクターにも使われますが、人物ならイメージキャラクター、絵から作ったキャラクターならマスコットキャラクターと呼び分けると、社内でも誤解が少ないでしょう。
作るメリットと気をつけること
- 会社や団体の名前を覚えてもらえる
- 親しみを持ってもらうきっかけになる
- 説明を絵とセリフで伝えやすくなる
- グッズやSNSで何度も目にふれる
広告やホームページ、商品の説明書に同じキャラクターが登場し続けると、会社の名前と一緒に姿を覚えてもらうきっかけになります。一方で、デザイン料やグッズ・着ぐるみの費用がかかり、使い続ける手間も出てくる点には注意が必要です。作る前に、どこで、いつまで使うかを決めておくと、途中で使われなくなるのを防げます。

マスコットキャラクターの作り方6ステップ
マスコットキャラクターは、次の6つの手順で作ると、あとからの作り直しが少なくなります。順番を飛ばすと、描き上がってから「使いたい場面に合わない」と気づくことがあるからです。
- 目的と使う場面を決める
- モチーフと設定を考える
- 描く人を選ぶ
- ラフを何案か描いて1つに絞る
- 清書して表情や指定色をそろえる
- 権利と使い方のルールを決める
①目的と使う場面を決める
最初に「だれに、何を伝えたいか」と「どこで使うか」を書き出します。学生に会社を知ってほしいなら採用サイトやSNS、子どもに交通安全を伝えたいならイベントの着ぐるみや配る品が、主な出番です。
使う場面によって、必要な絵の種類が変わります。福岡市が2026年に行った公募でも、「さまざまな用途に応じたポーズや立体化(着ぐるみ等)ができる」デザインであることを条件の1つにしていました。
ぬいぐるみや着ぐるみにする予定があるかどうかも、この段階で決めておきましょう。
②モチーフと設定を考える
モチーフは、社名の由来や主力の商品、まちの名産、校章など、自分たちらしさを説明できるものから選ぶと、社内の理解を得やすくなります。動物や植物とかけ合わせて、ほかにない形を探すのも一つの方法です。
あわせて、名前と性格、口ぐせ、好きなものも決めます。福岡市の公募は名前の由来や性格、ポーズや表情、セリフまで、神奈川大学の公募は趣味や好きなもの、口ぐせまで、応募の時点で書くよう求めていました。
「このキャラクターがしないこと」も1行書いておくと、担当者が替わっても扱いがぶれません。
③描く人を選ぶ
描き手は、社内で描く、公募で集める、デザイナーや制作会社に頼む、の3つから選びます。かかる費用と決まるまでの期間がそれぞれ違うので、予算とお披露目の日から逆算して選びましょう。
3つの違いと費用の目安は、このあとの「だれに頼む?」の章で比べているので、あわせて見てください。
④ラフを何案か描いて1つに絞る
いきなり清書せず、ラフ(下書き)を何案か描いて比べます。社内の人だけでなく、キャラクターを見てほしい相手に近い人にも見てもらうと、作り手の思い込みに気づけるはずです。
このとき、すでにあるキャラクターに似ていないかも調べておきます。ほかの会社のキャラクターに似せた絵は、あとで使えなくなるおそれがあるので避けましょう。
⑤清書して表情や指定色をそろえる
1案に決まったら清書し、表情やポーズの違う絵をそろえます。京都市伏見区は2018年、深草のマスコットキャラクターのデザインを整える仕事を募り、ポーズの違う絵を60パターン作るよう求めていました。
あわせて、カラーと白黒それぞれで使う色の指定と、印刷にも画面にも使えるデータを用意します。同じ仕事では、データをIllustratorの形式とPNG、JPEGの3種類で納めるよう求めていました。
⑥権利と使い方のルールを決める
最後に、著作権をだれが持つかを契約で決め、名前や絵柄は必要に応じて商標登録します。外部の人が描いた場合、ここを決めておかないと、グッズや着ぐるみに作り直せないこともあるので注意しましょう。
色の指定や小さく使うときの決まり、してはいけない使い方をまとめた「使い方のルール」も作っておくと、社内外の人が同じ姿で使えます。権利の決め方の詳細は、このあとの著作権と商標の章にまとめました。

愛されてグッズにもしやすいデザインのコツ
形がシンプルで色が少なく、どの向きから見てもそのキャラクターと分かるデザインは、印刷物でもグッズでも使いやすくなります。立体にする予定があるなら、布や刺繍で表せるかも描く段階で確かめておきましょう。
遠くからでも形で分かるようにする
黒く塗りつぶした影の形、つまりシルエットだけでも何のキャラクターか分かるのが理想です。耳や頭の形、しっぽ、持ち物など、目立つ特徴を2〜3個にしぼると、ひと目で覚えてもらいやすくなります。
細かい飾りを足すより、遠くから見ても伝わる形を優先しましょう。
色をしぼり白黒でも分かるようにする
使う色の数をしぼると、印刷やグッズで色をそろえやすくなります。チラシやスタンプなど白黒で使う場面もあるので、白黒にしても見分けられるかを確かめておきましょう。
伏見区の仕様書にも、白黒にしたときや拡大・縮小したときに耐えられるように作ること、という条件がありました。
小さく使っても顔がつぶれないようにする
SNSのアイコンや名刺のように小さく使うと、細い線や小さな文字はつぶれて見えなくなります。目や口はやや大きめに、線は太めに描いておくと、小さくしても表情が伝わります。
この考え方は、キーホルダーのような小さいグッズにするときにも役立つでしょう。
正面・横・後ろの3方向を決めておく
ぬいぐるみや着ぐるみは平らな絵を立体にするので、正面の絵だけでは、横顔や後ろ姿を作り手が想像で補うことになります。RONECTのぬいぐるみ制作も、前・後ろ・横の写真かデザイン画をもとに作っています。
福岡市の公募は採用作に「6面図」の追加を求める場合があるとし、神奈川大学は背面の絵が無い作品が採用されたら大学で作ると書いていました。絵をぬいぐるみの形に整える手順は、キャラクターのぬいぐるみの作り方の記事にまとめています。
布や刺繍で表しにくい模様を減らす
色が少しずつ変わるグラデーションや細かい模様は、布や刺繍では絵のとおりに表しにくい部分です。福岡市の公募も、応募するデザインにグラデーションを使えないと決めていました。
目や口を刺繍にするかプリントにするかでも、表せる線の細さが変わります。顔の表し方の違いは、ぬいぐるみの刺繍の記事で比べているので参考にしてください。
RONECTの参考料金も、大きさのほかに仕様や作りの複雑さで変わります。模様を減らしておくと、費用も抑えやすくなります。ぬいぐるみにするときの最低ロットと単価はぬいぐるみOEMの最低ロットと単価、依頼から納品までの流れはオリジナルぬいぐるみ制作の流れと費用で紹介しています。
マスコットキャラクターはだれに頼む?費用の目安
描き手の選び方は、社内で描く、公募で集める、デザイナーや制作会社に頼む、の3つです。かかる費用も決まるまでの期間も違うので、予算とお披露目の日を先に決めてから選びましょう。
社内・公募・デザイナーの違い
| 頼み方 | 主にかかる費用 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 社内で描く | 担当者の人件費 | 絵を描ける人がいる |
| 公募で集める | 賞金と仕上げの費用 | 住民や学生を巻き込みたい |
| デザイナーに頼む | デザイン料 | 期間と品質を重視したい |
社員が会社の指示で仕事として描き、会社の名前で公表する絵は、契約や就業規則に別の決まりがなければ、会社が著作者になります(著作権法の職務著作)。公募とデザイナーへの依頼では、次の2つの節で説明するお金と権利の決め方が大切です。
公募なら賞金と仕上げの費用を見込む
公募の賞金や賞品は、2026年の例では、福岡市が最優秀作品に30万円、神奈川大学が最優秀賞に商品券10万円と記念品でした。どちらも採用作にあとから手を入れる前提で、神奈川大学は「プロのデザイナーによるレタッチ」を行うと書いています。
決まるまでの期間も長めに見ておきましょう。福岡市は7月に募集し、審査と一般投票をへて10月末に発表する日程を組んでいました。神奈川大学は、2028年の創立100周年に向けて2026年7月から9月に募集し、発表を2027年5月としていました。
応募者が未成年のときは保護者の同意も必要になるので、学校や子ども向けの公募は要項づくりから余裕を持って始めましょう。学校で公募するときの決まりは、学校キャラクターの記事でも説明しています。
デザイナーに頼むときに伝える5つのこと
デザイナーや制作会社に頼むときは、次の5つを最初に伝えておくと安心です。
- 目的と、見てほしい相手
- モチーフと性格などの設定
- 使う場面と必要な絵の数
- 納めてほしいデータの形式
- 著作権の扱いと支払いの条件
デザイン料は、描く絵の数や、着ぐるみ・グッズ用の図まで頼むかどうかで変わります。公的な例では、伏見区がマスコットのデザインを整えて60パターンの絵を作る仕事に、税込み37万円の上限を設けていました(2018年)。
頼む先を比べるときは、過去の作例のタッチと、修正に何回まで応じてもらえるかも確かめておくと安心です。
あとで困らない著作権と商標の決め方
外部の人が描いたキャラクターを自由に使うには、著作権を契約で譲り受け、名前や絵柄は必要に応じて商標登録します。とくに、グッズや着ぐるみに作り直すための権利まで含めて決めておくことが大切です。
報酬を払っただけでは著作権は移らない
文化庁の「誰でもできる著作権契約マニュアル」は、作品を描いた人が著作者で、依頼者が報酬を支払ったからといって、それだけで著作権を取得することにはならない、と説明しています。依頼した側が使うには、使い方の了解を得るか、著作権を譲り受ける契約が必要です。
同じマニュアルは、譲渡の契約で第27条と第28条の権利を明記しないと、それらは譲渡の対象としなかったと推定される、とも書いています。第27条はもとの作品を変形・翻案して新しい作品を作る権利、第28条はその新しい作品を使う権利です。
絵をぬいぐるみや着ぐるみにすることは、この翻案にあたりうるので、2つの権利も含めて譲り受けましょう。ぬいぐるみと著作権の関係は、著作権の記事でも説明しています。
契約書に入れておきたい3つのこと
- 第27条・第28条も含めて譲り受ける
- 著作者人格権を行使しないと約束する
- 商標や意匠の出願を認めてもらう
福岡市と神奈川大学の公募の要項、伏見区の委託の要領には、第27条・第28条を含めた著作権を主催者や区のものにすることと、著作者人格権を行使しないことが共通して書かれていました。伏見区は、区が商標や意匠を出願・登録することを認めるという条文も置いています。
著作者人格権は譲ることができない権利で、文化庁のマニュアルは、イラストの大きさや色調の変更でも同一性保持権(作品を勝手に変えられない権利)の問題が生じる可能性があるとしています。ぬいぐるみでは布の色や形に合わせて絵を変えるので、「行使しない」と約束してもらうことが大切です。
名前と絵柄は商標登録も考える
日本の商標は、先に使っていたかどうかにかかわらず、先に出願した人に登録を認める「先願主義」です。名前や絵柄を長く使い、グッズにも広げるなら、特許庁への商標登録を考えておきましょう。
特許庁に払う料金は、出願が3,400円に区分数×8,600円を足した額、登録が区分数×32,900円(10年分)です。1区分なら合わせて44,900円で、弁理士に頼む場合はその報酬が別にかかります(特許庁の料金一覧・2026年4月6日更新)。
区分は、商標を使う商品やサービスの種類ごとの分類で、第1類から第45類まであります。ぬいぐるみやキーホルダーなど使う商品を決めてから、特許庁の案内や弁理士に区分を確かめると安心です。
AIだけで作った絵は著作物にならないことも
生成AIで作った絵の扱いは、文化庁の審議会が2024年3月にまとめた「AIと著作権に関する考え方について」が参考になります。AIへの指示が表現に至らないアイデアにとどまる場合、AIが作った絵に著作物性は認められないという整理です。人が創作的な加筆や修正を加えた部分は、通常は著作物と認められる、ともしています。
福岡市の公募はAIで作った作品の応募を遠慮するよう求め、神奈川大学は生成AIだけで作った作品は応募できないとしていました(どちらも校正などの補助的な使い方は可)。AIやキャラクター作成のアプリは案を出すところまでにとどめ、人が描き起こすと安心です。
無料のアプリには商用利用を認めていないものもあるので、使う前に利用規約を確かめておきましょう。
完成したマスコットキャラクターの使い方
完成したキャラクターは、SNSや印刷物で同じ姿を見せ続けながら、グッズや着ぐるみで手にふれる機会を作ると、名前と一緒に覚えてもらいやすくなります。
SNSや印刷物で同じ姿を見せ続ける
ホームページやSNS、チラシ、名刺などに、同じ姿で登場させ続けるのが覚えてもらう近道です。季節や行事に合わせた表情やポーズを用意しておくと、投稿のたびに新しい絵を描かなくて済みます。
業種ごとの成功例は企業キャラクターの記事に、自治体の例は自治体のゆるキャラの記事にまとめたので、あわせてご覧ください。ゆるキャラをぬいぐるみにするときの費用と流れは、ゆるキャラのぬいぐるみの作り方と費用が参考になります。
ぬいぐるみやキーホルダーにして手元に残す
ぬいぐるみやマスコットのキーホルダーは、イベントで配ったり記念品にしたりすると、使う人の手元に長く残ります。RONECTがぬいぐるみ制作のページで公開している、100個を注文した場合の1個あたりの参考料金は次のとおりです。
| 高さ | 1個あたりの参考料金 |
|---|---|
| 8〜15cm | 1,500〜1,800円 |
| 20〜30cm | 2,000〜3,000円 |
| 40cm | 3,000〜4,000円 |
| 80cm | 15,000円〜 |
同じページには高さ約8cmで1個約1,000円の例もあり、小さいマスコットなら1個1,000〜1,800円ほどが目安です。本体とは別にサンプル代が20,000〜30,000円かかり、配送費が別になることもあるので、税の扱いとあわせて見積もりで確かめてください。
金具の選び方はぬいぐるみキーホルダーの記事で、小さな子どもに配るときの安全の決まりはSTマークの記事で説明しています。
着ぐるみでイベントに登場させる
着ぐるみがあると、イベントや店頭でキャラクターに会えるようになり、写真を撮ってもらうきっかけにもなります。頭身や形で費用が変わるので、作る前に中に入る人の身長と使う回数を決めておきましょう。
費用の目安や発注の流れは、着ぐるみ制作の記事をご覧ください。
RONECTでキャラクターからグッズまで頼む場合
RONECTでは、キャラクターのデザインから、ぬいぐるみやマスコットなどのグッズの制作、輸入と国内への納品までをまとめて相談できます。デザインとグッズを別々の会社に頼む手間を省けるのが利点です。
キャラクターデザインの段階から相談できる
RONECTは、商品やロゴのデザインに加えて、キャラクターのデザインも作成しています。作りたいイメージはあるけれど形にできない、という段階から、デザイナーと一緒に考えられます。参考のデザイン料金は、デザイン作成のページで確かめてください。
グッズにした姿をAIで無料で確かめられる
キャラクターが決まったら、ぬいぐるみやキーホルダーにしたときの完成イメージを、AIを使って無料で作成しています。サンプルを作る前に仕上がりを想像しやすくなるので、社内で相談するときの材料にもなります。
AIの画像はあくまで完成イメージで、形や色が実物と違う場合もある点は覚えておきましょう。
100個から日本人の担当者が工場とやり取り
量産は中国の提携工場で行い、サンプルの制作と修正、量産、検品、輸入、国内への納品までまとめて受け持ちます。中国語ができる日本人の担当者が工場と直接やり取りするので、細かな修正の希望も正確に伝わります。
制作期間の目安はサンプル約2週間、量産約30〜40日で、全体では約2〜3か月です。ぬいぐるみは100個から承っているので、見積もり依頼のページから、絵と大きさ、数をお知らせください。
まとめ
マスコットキャラクターは、目的と使う場面、設定、描く人、ラフ、清書、権利の6つを順に決めると、あとで作り直す手間が減ります。外部の人に描いてもらうなら、第27条・第28条を含めた著作権の譲渡と、著作者人格権を行使しない約束を契約に入れておきましょう。
まずは、キャラクターを見てほしい相手と使う場面を、1枚の紙に書き出すところから始めてみてくださいね!
株式会社RONECTでは、キャラクターのデザインのご相談と、ぬいぐるみやマスコットの小ロットOEMを100個から承っています。作りたいキャラクターのイメージが固まっていなくても、お気軽にご相談ください。

